見えなくたって登れるんだ

彼は、先天性の難病で、生まれながらにして、見えない、聞こえない、声を発せられない・・という難病に見舞われていた。しかし、近代医学の発展が4歳にしてこれらの障害を越えられる可能性を引き出したのだった。しかし、それらの障害はさまざまな運動機能障害を併発させていた。ロッククラフトが始まった当初彼のお母さんが僕を尋ねてきた

「・・・・・・・、しかし、障害があるだけでなく、歩くこともできないんです。何とかなるでしょうか」    「任せてみてください。可能性を引き出して見ます」僕はヘレンケラーの家庭教師サリバンにでもなっかような気分で、この困難と闘うことを決めた。しかし、彼の家庭教師になることは、まさに野生の狼と交流すかのような極めた困難を強いられた。

しかし、あきらめずに、しかも怯まずに・・・。そう、心に念じながらも僕はこの困難を『できれば回避したい』と考えていたのも事実であった。回避とは、彼の指導をやめたい、と言うことである。へ垂れ込みながら、屈託なく笑う・・彼

彼は、光に対して執拗に反応した。蛍光灯の光、窓に差し込む日の光、壁に映る光の影、そして、鮮やかな夕日には「わ~」と明るい笑顔とともに感動の言葉を発した。

ある日、小林という男が尋ねてきた。白い杖を突いて。電話やメールで視覚障害者にクライミングを指導している小林幸一郎という男であった。

彼は後天的に視覚が消失する、という難病に見舞われていた。それは20代の前半から彼を静かに襲い始めた。難病であった。

「わたるクンと会ってみたい」そう言って尋ねてきたのだ。

正直言って、僕はわたるとの交流にどうしようもない、苦慮と困難を抱えていた。視覚障害者の機能回復にスタンフオード大学のセオリーを導入しようと壁の改修をしていたのだったが、日本には事例がなく判断の基準も見出せない・・という困難も重なっていたのだ。小林さんにはその件もアドバイスしてもらおうと考えていた。

もう、わたるが来ないことを心では願いながらも、表面上は『楽しかったね、今度は何時来るの」と心のない言葉を、いつも彼に投げかけていた。しかし・・・

ある日「ワタルは、ここにくる事を楽しみにしているようです」

母親は、そう僕に告げた。それは大きな驚きであった。僕は彼に『できれば会いたくはない』と考えているのに、ワタルは「僕に会いに来るのが楽しみみたいです」とも付け加えた。さらに母は

「わたるは本能的に自分に与えられる善意が本質か詭弁かをかぎ分けてしまうようです。どうも向井さんは合格みたいですよ」と言われた

小林さんがここに来る時、わたるにも来てもらった。二人は数年の付き合いがあるかのように楽しきひと時をここで過ごした。

「向井さん、ここにはセオリーがある。だから障害者は楽しんです」小林さんの言葉であった。

小さな感動が、僕の胸にこみ上げてきた。

僕は迷いながらもワタルとの交流を数年続けた。

それから数年の月日を経て、彼は6Mの壁を登ることができるようになり、盲学校から公衆電話で僕に電話をかけてくるようになった。彼の進歩はこのまま持続可能性を医務のだろうと、僕は勝手に創造していた。しかし、運命の可能性は僕たちの前に新たな困難を用意していた。

ある日、主治医は言った「彼の聴覚は衰え、光を感じていた目も、今はほとんど反応しなくなっている。残念ですが・・・・」

しかし、僕の前にいるワタルは、そんな困難に直面している現実を困難とは受け止めていないようであった。昨年は4キロも歩いて遠足に行けたのに・・。・・・・常に困難に直面しながら気丈に、その困難に立ち向かっているのは彼の母親である。しかも彼女は癌との戦いに向き合いながら・・・である。

 

実は小林さんと僕は20年くらい前に交流を持っていた。クライミングのイベントを手伝ってもらったり、ジムで話し合ったりいていたのだ。ある日突然小林さんが僕に言った「あ、僕は昔、向井さんと会っていますね、いろんなことを話したことを思い出しました。僕は後天的に目が見えなくなったけど、こうなった今でも、目で感情を捉えていることに気がつきました」

「やっと思い出してくれたね(笑) 僕は見えるから、君と会った時から、君の記憶があることに気がついていたよ」

そんな小林は、さらに前へ進もうとしている。「見えないチカラは素敵なチカラだ」と思った。イベントの件はhttp://www.uplink.co.jp/factory/log/004295.phpこちらです

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