下野(しもつけ)ボルダリングコンペに、ロッククラフトから参加した育成選手についても、少し触れておきたいと思います。
オープンクラス
オープンクラスには2名の選手が参加した。どちらも高校1年生で小学校から通っている。
沼尻拓磨君は11位と健闘したと思う。元来優れた才能を持っていたと考えている。初めて出会ったときは小学3年生であった。最近やっと身長が伸びてきて160センチ位になってきた。小学生の頃は関東近県のタイトルを総なめ・・位の勢いであったが、中学に入ってからは伸び悩み(身長が伸びない)時期があり相当な重圧を感じていた事と思う。大きな大会に参加してもほぼ2年半は予選落ち・・という上古湯であった、しかし、中学3年生の後半から次第に大会での結果も出始め、昨年はなかなか良い成果であったと考える。大会での順位という成果より練習のプロセスに思考が加わってきて、高度な技術の習得より、地道な基本練習に取り組む姿勢を高く評価したい。昨年からロッククラフトの強化指定選手になっている。今年も順位という結果より、身体の構造的構成力や思考のバランス感覚を養ってゆきたい。昨年は生理学における「心臓と血管の関係」・・という講義を90分も聞いていられるようになって来たことの、驚きを感じる。
もう一人、弓田渓介であるが、中学生のときは、さすがに思春期であった。おそらく2年位は練習をサボっていたようにも思う。しかし、JOCやユース選手権などでは、見えないところにしっかりと順位を残していた。準決勝や決勝に進出すつこともあったが、地味な存在で、目立たない。そんな渓介も高校に入ってからは地道にランニングや長く緩い練習を続けている。結果としては41位であるが練習に対する姿勢は高く評価している,今後に期待したい。
ミドルクラス
ここには中学生を中心にロッククラフトからは9名に選手が参加した。テストなどがあって参加できなかった選手も居るが、8年目を迎える選手も居る。なかなか層の厚いクラスでもある。
予選1位通過は塚田遼河である。ルートには強い(ロックの中では)がボルダーのルーフ課題や、長い基本練習はは苦手、さらにボルダー独特のムーブに対しても消極的でセッション的風合いの練習にはほとんど参加しないというプライドを持っていた(と僕は思っている)彼は父母とも身長が高いので180センチを越える事を前提として指導している。先は急がない。優れた瞬間的洞察力(瞬間視力といったほうが良いかもしれない)を持っていて、時々驚かされる。また驚くべき記憶力もあり、長いルート課題もすぐに暗記してしまう。いつもノート持参で練習に励んでいる。見習うところは多い。しかし、僕の指示する練習はほとんど手を付けない・・ま、それでも良いか!と放置すると寂しがる。意外と繊細な心を持っているようだ。そんな遼河が昨年12月からボルダーの練習に取り組んでいる。それもボクが示唆している練習を自らの意識で取り組んでいる。ルート練習では圧倒的な指導的立場にありながら、ことボルダーというと「何だ、遼河、これも出来ね~のかよ」と、数手の強い筋力を必要とするプロブレムでは見る影もない・・。が、しかし、そんな揶揄を声援に変えて、皆と取り組む姿は、同級生のみならず、大人たちにも「遼河は変わった」と言わしめた。優れた才能も、練習の積み重ねなくては開花しない、すなわち「練習した通りの結果を生む」のである。昨年も一昨年も、ユース選手権やJOCで出ない結果に泣き崩れるが、ボクはいつも冷たい「練習しな通りに結果が出ただけだ、泣く意味が解からない」と突き放す。突き放しすぎて不登校(ロッククラフトでのい連取についてであるが)になっても「止む終えない」という覚悟で奮起を促したが、最近は練習のプログラムを与えるまでもなく、良い練習に取り組んでいる。それでも4月から中学2年生。これから毎年10センチ以上の身長期を2年以上も経験するのである、大きくなることの辛さも、メ向きな試練と考えてほしい。決勝では4位に後退したが、100人近い観客を3m後ろに抱えて、緊張しすぎてぎこちなかった。ま、それも経験である。
成果といえば、予選で6位とぎりぎりで決勝進出した増山貴裕(中2)はライバルの多い世代で、遅れてきた入った選手でもある。ほとんど中学2年生クラスだと小学低学年からクライミングをしている世代であるが、確か小学5年生暗いから通い始めている生徒である。もともと体操の選手で、すばらしい運動神経(科学的ではないことがであるが)の持ち主であり、マットの上で3回連続後方宙返りをしてしまう才能というか練習をつんできた選手である。速筋力は強いが20秒程度しか続かない・・。彼の体操で培った強さ速さが、クライミングではなかなか生かされない・・というじれジレンマを抱えながらの取り組みである。基本練習は間々田駅からロッククラフトまで6キロを歩く、またはランニングすること・・である。中学に入って陸上部に入ることを進めた。将来のことを考えてのことである。体操競技からは完全引退してしまった。栃木県体操協会にとっては大きな損失だったかもしれない。
しかし、常に注目されて見られている・・という環境にはめっぽう強い、ほぼ日常の連取での成果に近い結果を残せる能力がある。彼はまだ身長期を迎えては居ない。あえて言うなら体操で培った強く早く動ける筋肉の鎧を脱ぐことであるが、なかなかスムーズには進まない。あえて、緩く温く遅くしかもやわらかく動くことを指導しているが・・本人には大きな試練となる練習課題であるとも思う。
決勝では次々に課題を攻略して、能力の高さを発揮しはじめてきた。2位である、良い感じだ。今後も身長が確定するまで、伸びる動作で緩く練習中心に行なうから、覚悟していなさい。将来の為に・・。
予選4位決勝6位は早川幸太郎の得意技でもある。こちらも観客が居ると「あがってしまう」という能力を持っている。小学1年生からロックに通いうジュニアスクールの1期生(遼河などと同じ)である。母親がガスケットボールの選手であった?からか小学3年からバスケットの部活の合間にロックにかようが中学2年生の今はバスケットの練習がきつく長く・・。経ろヘロになってロッククラフトにたどりつく。小学2年生の頃から母親同意の下で自転車通学(ロッククラフトへの)をさせているが自転車で、ほぼ40分蔵の距離なのに・・最初は何処に行ったのか、何処に居るのかわからず・・肝を冷やすことが多かった。蕎麦屋の出前ではないが「今、ロックを出ました」「今、家を出ました」と母親と携帯でやり取りをすることが多かったが、そんな幸太郎も中学2年生、重圧には弱いが、練習には強い。いきなり、5.11cをオンサイトしたり、3級の課題を落としたりと・・なかなか才能にあふれている、特に彼の強さは鍛えるのが難しい足底筋の発達である。そして身長167センチ、体重43キロと体脂肪がつきにくく、洞察的思考能力は弱いが(現状)、瞬間的反射力には飛びぬけた才能を持つ・・しかし。観客に見られているという重圧、ここ一番で力を発揮できないやさしさが彼の特徴でもアル。バスケットでは今年県大会初制覇を狙うレギュラーでもある。二束の草鞋をボクは推奨しているが、最後まで頑張ってほしいものだ。高校に入ったら、クライミングに没頭してほしい・・というのが僕の希望だが・・栃木もブレックスに有名選手が入り、バスケット熱はヒートしている。
さて、野村真一郎君は4月に中学生になる、昨年12月の会議(宴会)で大ちゃんの推薦で、ロッククラフトの強化選手に決定した逸材である。彼も拓磨と同じくスポーレ(筑波のシム)で練習をしているが、ほぼ彼が始めた頃から、家族ともども仲良くしている。優れた感性と身体張力に満ちた動きは圧巻である。特に練習では強化しにくい抑える握力、バランスでぶら下がる握力に潜在的能力を発揮する。まだ身長が140センチ位と小柄だが「クライミングで登ることが楽しい」と練習することを楽しめる能力もコーチが教えられる能力ではない。いつか練習が苦しくなるときがアル。それはすべてのアスリートが経験して越えなくてならない宿命を背負っている。ロッククラフトの強化センスとしての指定大会ということで創造以上に重圧を感じたようだ。ま、重圧は君だけではない。重圧と楽しみ、重圧を声援に変えて、いつものようにクライミングを楽しむ姿勢が見えたとき、彼の才能は開花すと信じている。「結果をだせなくてすいません」なんて誤ることはない「結果を出せなかった原因を考えて、クライミングを楽しむことだ」僕はあえて選手をしかりはしない。君たちが19歳を迎えたら、今までのやさしさを覆すくらい鬼になるかもしれないけれど・・それまではやさしいから心配しないでほしい・・と思う。
女子で予選12位女子2位に入った五月女美元も中学1年生としては類まれな才能にあふれている。彼女のよさは闘争心の強さと練習に対する気持ちの強さであろうと思われる。あまりに強すぎるので、昨年の4月以降ボクは手を加えていない。すなわち「何も教えない」というコーチングであるが、理解すロことは難しいであろう。彼女を見たときは。小医学4年生の頃の尾上彩ちゃんを見たときの衝撃に匹敵する戦慄を覚えた。彼女の2年先輩には平井悠希(中3)が居て、良い練習相手になったことと思う。ほぼ栃木県の強化練習では男子の中学生をも勢いで制圧してるくらいである。今回ミドルクラスで決勝に残ったロックの3選手とも「美元には勝てない」と同じクラスで登るのを嫌がっていたのである。課題設定時にも、決勝に残る前提でマークしていた選手であったが、予選敗退であった。今回の課題にはさまざまな配慮があった。単なる決勝進出者の絞込みが目的ではなく、技術の総合性や選手の弱点の発見につながる課題設定をセッター人にお願いした。それが項を相したのかは解からないが、選手には良い刺激になった様でもある。セッター陣の質の高さを垣間見る思いがした。美元は尾上彩とも平井悠希ともタイプの違う選手であるので、その今後の動向には十分注意をはらいた・・と思う。
下位にも注目している選手が居るが、この場では割愛させていただく。
ジュニアクラス
参加22名中6名がロッククラフトの練習生でもある。このクラスには見えない有望な選手がひしめくが、それはロッククラフトだけの現象でもあるまい。クライミングに対して、優れた才能を持ちながら、陸上や体操、サッカーやバスケットなどの競技に転進してゆく選手も多く、今回もサッカーやバスケットの大会などや成長痛や怪我などが重なって、参加できなかった選手が4名居るがそれらの選手の潜在能力は高く、今回の大会に参加できなかった事は、僕としては痛い・・・。4名とも小学4年生から6年生の男子である。また小学4年生の女子にも才能豊な練習生が居るが、今後を待ちたい。
大会では他都県の選手の強さが目立ったが、その中で、予選4位決勝女子3位に入った沼尻千璃(中1)は拓磨の妹であり「ついでに始めた」ような感じであるが素直な登りは小学低学年の頃から目立つ存在でもあった「なにも練習していないけれど、先生が出ろって言うなら、楽しんじゃうよ」という気楽な感じでの参加であったが、思わぬ成果に本人も気持ちをよくしていた見たいでもあった。日本中にこのクラスの女子の層は厚く、なかなか上に立つ(表彰台に立つ)のは難しいかもしれないが、競争が激化すれば5年後10年後には日本国内予選の通過のほうが世界大会で表彰台に立つよりも難しい・・といわれるようになってこそ、認知されたスポーツとしての地位の確立につながると思う。なんとなくでよいから、これからも、あきらめずに楽しんでほしいと思う
予選5位決勝男子4位に入った櫻井良基も小学5年生である。彼の自宅には小さなクライミングウオールがあるが2年ほど、前ボクが課題の設定に行った。12月の中ごろであったと思うが「向井先生が本当に来てくれたんだね、最高のクリスマスプレゼントになったよ」と聞かされて、ボクの涙腺が緩んだのも記憶に新しい。そんな彼も遠いところから毎月3~4回ロックに通う夏休みなどは、ほとんど合宿状態で、平井悠希や他の中学生に混じって練習ではしごかれている。素直で芯が太く思考がぶれないのが魅力である。瞬間反射運動は少し苦手な様であるが、ボクの難しい話を驚異的理解力で飲み込んでしまう。どちらかというと感覚思考と科学的洞察能力のバランス特性にあふれているような気がする。僕の感じだと、数学者か物理学者でインデイ・ジョーンズのように彼の大人になった世界では地球外での科学的立証を行なえる素材の様でもあり、非常に楽しみでもアル。根の深い練習を苦もなくこなすが、頑固で融通が利かない・・そんな風にも見えるが、それは誤解である。やさしく協調性もあり、指導力の本質も兼ね備えている、才能豊な素材である。ほめすぎも、よくないかもしれないが、子供らしさもありボクにとっては好きな素材である。母親にとっては大変な素材であろうが・・。腕力で強く引く事や高度なムービング技術を教えては居ないので、特にボルダーの動作は、現時点では、ぎこちないが、これからゆっくりと才能をクライミングだけではなく、科学や数学に発揮してほしいと思う。
今回の大会にはロッククラフトの強化選手でありながら参加できなった選手も数人居る、ロッククラフトでは選手に一意専心を奨励しては居ない。むしろ結果にこだわらず、むしろ反省点や試練を糧として今後につなげてほしいと思う。
こんなところで、下野ボルダリングコンペのレポートは終了いたします。

