2008年5月アーカイブ

スポーツのスピードは近年向上の一途をたどっている。

100mは10秒を切り、マラソンはついに2時間6分台に突入している。

水泳においてはクロールで100mを48秒で泳ぐ。

では、果たしてそれらの記録は人類の進化を証明している結果なのであろうか・・と考えてみた。

登山においてもエベレストのベースキャンプを出発して頂上まで8時間10分と言う記録も生まれた。

ボクがエベレストに行った1994年には。誰が24時間で頂上にたどりつくのか・・と言う話が話題の的でもあったが、技術の近代化は、記録すなわち時間の早さのみが、賞賛される時代になってしまったようにも思われる。

少し、悲しい思いもするが、いかがなものか?

さて、本題に入る。

100mを10秒で走ると言うことは時速36キロに相当する。秒速に換算すると1秒で10m進むのである。

マラソンにおいて42・195キロを2時間6分で走るとするなら、時速20キロ、秒速に換算すると19秒を切る速さである。

競歩においては時速13キロで歩くのであるから、秒速3.6mといえる。

水泳において、クロールで100mを48秒で泳ぐと言うことは、秒速2.8mと言う速さであり、どの記録においても、驚嘆すべき速さである。

ではクライミングにおいては、速いという速度はどのくらいをさすのであろうか?

簡単(難易度の低い)垂直の壁を15mあたり8秒程度で駆け上る・・と言う競技もあるが、それだと秒速1.9mで、水泳の早さに僅かに劣る。

エベレストをベースキャンプから頂上まで8時間10分で登頂すると言うことは、高低さ3500mを時速

0.8キロ以上の速さで登ることになる、1時間当たり登れる高さは400m以上と言うことになる。

この速さは秒速22センチの速さなのであるが、ここの速さを速いと形容してよいのであろうか?

エベレスト登山の場合、平均斜度は30度に満たないのであるが、クライミングはおおむね垂直の壁を登ると仮定すると、その速度はさらに遅さを増すのである。

難易度の高い15mの壁を制限時間8分で登るとするなら、その速度は時速に換算すると115m、秒速3センチmという速度となる。

クライミングと言う競技はある意味においては、いかに遅く登るのか・・という競技なのかもしれない・・と考えるボクは少し、いかれているのかも知れない。

しかし、ここには「ウサギと亀の論理」が存在する。

おおむね国内コンペでの制限時間は予選6分であるので、普通のクライマーは15mを秒速5センチでの登るのである。しかし、それでは世界には通用しない。

世界選手権などでは壁の難易度は天文学的な数値(5.14前後?)である。秒速3センチ以下の速さ(遅さ)でクライミングができなければ、途中で失敗してしまうのである。

なんて不思議なスポーツなのだろうか・・・クライミングとい競技は。

競技ではないが、アメリカのヨセミテ国立公園にある1200mくらいの高低さの壁(ほぼ垂直)を10時間で登ったと言う記録もある。時速120m、秒速2センチmという遅さであるが、クライミングにおいては最速の速さなのである。

ボクは生徒に秒速5cmの速さで登る練習を課している。

しかしその速さ(遅さ)で登れる子供はほとんどいない、皆それよりも早くしか登れないのだ。

それは、まだまだ世界が遠いということなのだろうか?

一人だけ秒速3,7センチの練習に到達した生徒がいる。

ほぼ垂直壁を150m秒速2cmでのぼり、あるいは秒速5cmで登るという二つの速度で登る練習は、陸上競技に換算するなら、100mを11秒で走り、マラソンを2時間20分で走れ!!という練習なのだろうか?

試行錯誤を繰り返しながらの練習は、あと、少なくとも4年間(4000時間)の練習を積んだ先に見え隠れする真実なのかもしれない・・と、思うのであるが・・。

未来を予想することは困難を極めるが、4年後にたどりついたところが世界であるとするなら、この練習は真実出会ったことを証明してくれるのであろうと思う。

 

 

 

フリークライミングスクール・ロッククラフト

このアーカイブについて

このページには、2008年5月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2008年4月です。

次のアーカイブは2008年7月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。